【Two's a soldier】〜過去に無くしたもの〜
「....はぁ。」
彼はまた1つ溜息を付いた。
「今ので17回目ですよ。」
「...何で数えてるんだ、ラジェル。」
「癖、とでも思ってください。」
「........。」
何が癖だ、と思いながらヴァイオレットは静かに目を瞑った。
『お母様が........死んだ?』
『ええ。残念ですが....』
『あ、あはは....冗談が上手いわね、ラジェル....』
『....すみません........ヴァイオレット様、ラーシャ様....』
『.....そだ..........嘘だっ!!』
『っ落ち着いて下さい!!』
『....俺のせいだ......よな。』
『そんな事ありませんヴァイオレット様。』
『.......そうよ。兄様のせいよっ!!』
『なっ...!!ラーシャ様っ!?』
『兄様はいつも自分の事ばっっかり!!他人の事なんて何一つ考えてないっ!!私の事だってそうだわ!!いつもいつも“忙しいから後にしろ”って!!』
『ラーシャ様....』
『もう、うんざりよっ!!』
『............。』
『ほら、こんな時でも無言じゃない。』
『........本当に....すまない...』
『....もう良いわ。私、独立するから。』
『え...?どういう事だ........?』
『そのままの意味よ。じゃあね、ヴァイオレット王子。』
『おいっ!!待てよラーシャっ!!おいって!!どういう事だよっ!!ちゃんと説明して行けよぉぉぉっ!!』
「―――――――っ!!」
「ヴァイオレット様っ!!大丈夫ですかっ!?」
「...ん?え、ラジェル...?」
「どうしたんですか?うなされてましたよ?」
「あ....どういう.........?」
「いつの間にか寝ていらっしゃったのです。そしたら急にうなされ.......」
「.........また、夢か...っ!!」
「....ヴァイオレット様。」
「すまないな。変な所を見せて。ってまあ、何回も見せてるよな。ははっ.........」
「...大丈夫ですよ。その為に【選ばれた戦士】を連れてくるんですから。」
「............あぁ、そうだな。そうだよな。」
彼はまた深い溜息を付いた。
【彼等】が来るまで、あと15分―――――。