【Two's a soldier】〜始まったゲーム〜
「やっと来ましたか。待ちくたびれましたよ。」
「え...。どういう....。」
「よく来たな。ガナリアッシュに。」
「ついに始まりましたね。」
不意にラジェルが呟いた。
紅羅と怜津には、既に用意していた部屋で休んでもらっている。
「5年前から、決まっていた事だ。」
「まぁ、そうですけど....。」
珍しく歯切れが悪い。
「......何か不満があるのか?」
「い、いえ!!そんなわけありません!」
「何か...不安なのか?」
ラジェルがビクッと反応する。
「戦争に.....」
「え?」
「戦争に、なりませんよね.....。」
成る程。そういう事か。
ヴァイオレットは1つ、息をはいた。
「俺を誰だと思っているんだ?」
「......。」
暫く呆気に取られていたラジェルは、フッと笑った。
「私のお慕いする命の恩人、ヴァイオレット様です。」
「」
そう明るくは言ったが、内心、ヴァイオレットも不安だった。
戦争――――つまり、多くの人々が死ぬ、という事だ。
そんなことには絶対にさせない。
この国を、紅く染めるような事にしてはいけない。
同じ過ちは、繰り返してはいけない。
そう、固く誓った筈。
大丈夫だ。俺が守る。守ってやる。
ヴァイオレットは机に置いてあったサイコロのボードに目をやった。
そしてコマを《スタート》から1マス進めた。