【Two's a soldier】 〜もう1つの始まり〜

彼はバルコニーに立って、静かに外を見ていた。
とても寂しそうな顔をして。

「そろそろお部屋にお戻り下さい。」

後ろから従者の声がする。

「....なぁ。」
「なんでしょう?」

不意に彼が従者の方を向く。

「....何で、人は戦うんだ?」
「.......さぁ。」
「....何で、人は殺し合うんだ?」
「.....何故でしょうねぇ。」

彼は戦いが嫌いだった。
殺し合うのも嫌いだった。

「..................」

諦めたように、彼はまた外を見た。
まるで、戦争で粉々になった町を見ているかの様に。

「そろそろ来られますよ。【選ばれた戦士】が。」
「....そうか。穏便にすめば良いのだが。」
「....そうですね。」

そう言うと従者は部屋の奧に戻っていった。
その後ろ姿を見ながら彼は思った。




“平和な世界とは、一体どんなものなのか”と。




従者の名前はラジェル。彼に仕える唯一の召使だ。
そして彼の名前はヴァイオレット。

この国、ガナリアッシュ国の王だ。


この2人にはある共通点があった。

10年前の戦争で両親を無くしているという、哀しい共通点が..............




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